出版月報 2013年3月号「特集 2012年文庫本マーケットレポート」ライトノベル関連

誰かがまとめてくれるのを待っていたが見かけないので、自分用のメモとして。

販売・発行状況

2012年の文庫本(コミック文庫を除く)の推定販売金額は前年比0.5%増の1,326億円。2年連続のプラス成長、12年の書籍各部門のなかで唯一の前年超えとなった。推定発行部数は2億1,231万冊で前年並みを維持している。

売れ行き動向

三上延ビブリア古書堂の事件手帖』(メディアワークス文庫)は書店員のおすすめで動きが出始めた作品だ。12年の本屋大賞に文庫として初めてノミネート。初版1万8千部でスタートし13年2月の4巻までのわずか2年で570万部のヒットシリーズ作品に成長した。同作のブレイクは装丁画のイラストを見てもわかるように、ライトノベルのテイストを持ちながら、一般読者も惹き付ける内容だったことも大きい。

■2012年 文庫本売れ行き良好書*1

順位 タイトル 作者
1 ビブリア古書堂の事件手帖(1〜3) 三上延
8 三匹のおっさん 有川浩
10 ソードアート・オンライン(1〜11) 川原礫
11 天地明察(上・下) 冲方丁
24 氷菓 米澤穂信
28 僕は友達が少ない(8) 平坂読
29 新約 とある魔術の禁書目録(4・5) 鎌池和馬
30 カゲロウデイズ(1・2) じん(自然の敵P)
34 図書館戦争シリーズ(1〜4) 有川浩
35 愚者のエンドロール 米澤穂信
36 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(10・11) 伏見つかさ
46 ふたりの距離の概算 米澤穂信
49 バカとテストと召喚獣(10.5) 井上堅二

日経エンタメでは、1巻の初版は2万4千部と記述があったようだが、どちらが正しいかは判断できないので不明。

ライトノベル市場


拡大を続けてきた12年の販売金額は前年比3.6%増の284億円規模と推定される。飛ぶ鳥を落とす勢いだったライトノベルの成長曲線もここにきて鈍化してきている。

9,11年の販売金額を見てみると、前年比は平均3.25%増(257×1.0325×1.0325≒274.0)。特に成長が鈍化しているとは言えないと思う。なお、今回は上記グラフと販売金額のみで、男女別など他のデータなし。

ライトノベルは10代読者向けの作品群であり、本来、読者層が入れ替わっていくことが自然な流れだといえるものだ。しかし、実際にはライトノベル創成期からの読者も多く、20〜30歳代が中心読者層を形成している。

解説のみでデータなし。他に角川グループパブリッシングの栗原真史氏のコメントあり。

*1:ライトノベル関係のみ抜粋