出版月報 2014年3月号「特集 2013年文庫本マーケットレポート」ライトノベル関連

去年も書いたので、引き続き。自分用メモ。

ライトノベル市場

●初の前年割れ

 右肩上がりの市場拡大を続けてきたライトノベルだが、13年の販売金額は前年比12.0%減の250億円規模と大幅な減少となった模様だ。当研究所がライトノベルの市場規模の観測をはじめた04年以降、初めてのマイナス成長となった。
 前年に爆発的なヒットを記録した川原礫ソードアート・オンライン』(電撃文庫)のような作品は見当たらず、売上に直結するアニメ化作品も少なかったことが影響している。

2012年より少ないということは説明できているけど、2009年よりも少ないので他の理由の方が大きそう。

KADOKAWA・郡司顕義氏はマイナス成長は一時的な踊り場と考えており、「過去にも『ロードス島戦記』や『涼宮ハルヒ』の大ヒットした翌年は厳しくなることは経験済みだからです。ただ新作のヒット率が落ちているということは非常に気がかりな点です」という。

涼宮ハルヒ』の大ヒットは多分06年のことだと思うのですが、07年に伸びが鈍ったというソースがどっかにないだろうか?

ライトノベルはコミックス同様、アニメ化によって基礎部数を大幅に持ち上げ、次回巻につなげることができる。

ライトノベルは、コミックスと違ってアニメ化すると次回巻が出にくくなっている印象がある。

 新たに売れ行きを伸ばしたのはボカロ小説のじん(自然の敵P)『カゲロウデイズ』(KCG文庫)だ。
(略)
読者はボカロ作品を動画サイトで視聴している中高生女子が中心だという。

ボカロ小説についての記述はあったが、ネット小説については記述なし。

KADOKAWA シェア8割へ
 13年10月のグループ再編により、男子向けライトノベル市場のシェア8割をKADOKAWAが占めている。ヒーロー文庫主婦の友社)が気を吐くものの規模の差は大きい。

KADOKAWAに続くレーベルとしてGA文庫ガガガ文庫ではなく、月1,2点しか刊行していないヒーロー文庫を取り上げるのは違和感を感じる。

今、KADOKAWAは『ビブリア古書堂の事件手帖』のようなカバーイラストやシリーズ続刊が出るなどライトノベル的な要素を持ち、読者を一般文芸へ橋渡しをする「キャラ文芸」と呼ばれるジャンルに力を入れている。

「キャラ文芸」なんて、聞いたことがなかったけど、角川書店にキャラクター文芸編集部があった。ここで作られるのが「キャラ文芸」ってことかな。
https://twitter.com/kadokawa_c_bun

ライトノベル市場の課題は大ヒット作品は安定して続刊が売れているものの、新たに売り上げを伸ばす作品が中々出てこないことだ。同一読者の複数買い、ワンコンテンツ・マルチユースがライトノベル市場を支えているが、今後の市場拡大は新たな読者獲得が進捗するかどうかにかかっている、と言えよう。